他人の話を理解できなくなった
言語や文字を理解できなくなる症状は「失語症」の
一つであると言えます。
会話相手の言葉はキチンと耳の届いているにも関わらず
その意味を理解することが出来なくなる状態で、理解力
障害ともいいます。
言語や文字の理解は概ね左脳にある言語野が司っており
この言語野に脳梗塞などによってダメージを受けると
失語症などの症状が出ることが多い。
また、失語症にはその症状に応じていくつかの分類があり
大阪府より発行されている「失語症リハビリテーションマ
ニュアル」によると、下記のように分類されています。
言葉を聞いて 理解する能力 |
話す能力 | 読み書きの能力 | その他 | |
(運動性失語) ブローカ失語 |
話す能力に比べて 障害が軽い |
聞いて理解する能 力に比べて障害が 重い。自分の思うこ とが話せず、話せて もたどたどしいしゃ べり方になる |
仮名に比べ、漢字 の方が能力が保た れる |
ほとんどの人が右 片まひを伴う |
(感覚性失語) ウェルニッケ失語 |
話す能力に比べて 障害が重い |
なめらかにしゃべ り多弁だが、言い 誤り,錯語が多 いため、聞き手に は非常に理解しに くい話し方になる |
一部を除き、仮名 に比べ、漢字の能 力の方が保たれる 例が多い |
右片まひを伴うこ とはほとんどない |
全失語 | 相手のいうことはほ とんど理解できない が、日常のあいさつ や、本人の状態など に関する質問は理 解できることもある |
残語程度しか話せ なくなる |
強く障害される | ほとんどの人が右 片まひを伴う |
健忘失語 | 障害が軽く、相手 の言うことはよく 理解できる |
なめらかにしゃべる が、喚語困難がある ため、ものの名前が すぐに出てこない。 迂言(回りくどい言 い方)が多い |
読解や音読は保た れる。書字能力に は個人差がある |
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伝導失語 | 比較的保たれてい る |
字性錯語(言葉の 一部の言い誤り) が多く、誤りに気づ いて言い直そうとす るため、発話の流 れが妨げられる |
漢字より仮名の方 が障害されること が多い |
復唱が言語理解に 比べ際立って障害 される |
いずれの失語の症状においても会話内容の理解力に関して
多かれ少なかれ影響はありますが、特に理解力に影響が
強いとされる失語の分類はウェルニッケ失語であるといわ
れます。
このウェルニッケ失語の主な病巣はその名の通りウェルニッケ
言語中枢と中側頭回後半部を中心とした領域とされており、
その中核症状は聴覚理解障害です。